大判例

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千葉地方裁判所 昭和39年(ワ)5号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

〔判決要旨〕判示のように、土地の売買において、地番について錯誤があつても、実地について指示特定された土地を買い受ける意思をもつて意思表示がなされたときは、法律行為の要素に錯誤があるとは云い難く、そのことを理由とする無効の主張は理由がない。

〔判決理由〕一、(証拠―省略) と弁論の全趣旨とを綜合すると、その売主が誰であるかの点は暫く置き、原告が、その主張の日に、別紙見取図々示の位置にある乙土地(四、三八七番の一の土地)の西側道路沿の部分四〇坪を、その主張の代金で、買受けたこと、右部分四〇坪は、訴外荒田弥三郎が、原告を現地に案内し、之を実地について、指示特定し、之によつて、右部分四〇坪を右売買の目的物となしたものであること、及び右訴外人は、右部分を指示特定した際、その部分の地番は四、三八六番の三である旨を説明したので、原告は、右四〇坪の部分の地番は四、三八六番の三であると信じ、この為め、右買受を為すに際しては、右部分の地番を四、三八六番の三と指定し、その登記も亦その地番によつて之を為すに至つたものであること、並に原告は、その主張の日までに、右代金全額の支払を了したことが認められ、この認定を動かすに足りる証拠はなく、又、(証拠―省略)を綜合すると、地番四、三八六番の三の土地は、別紙見取図々示の甲土地であつて、前記乙土地とは異なる土地であること、又、前記乙土地の地番は、四、三八七番の一であつて、四、三八六番の三ではないこと、及び右甲土地及び乙土地は、互に隣接した土地ではあるが、夫々、独立した別個の土地であつて、甲土地は、道路に面し、乙土地は、その奥にある土地で、道路には面して居ないことが認められ、この認定を動かすに足りる証拠はなく、而して、以上に認定の事実によつて、之を観ると、原告が買受けた前記土地部分の地番は四、三八六番の三でないことが明かであるから、その地番については、明かに、錯誤があることになるのであるが、その買受の目的たる前記土地部分は、前記認定の通り、実地について、指示特定されたものであつて、原告は、それによつて特定された右部分を買受ける意思を以て、その意思表示を為し、その買受を為すに至つたものであるから、その買受の目的物については、何等の錯誤もなかつたものであると云はざるを得ないものであり、而して、売買の目的たる土地自体について錯誤がない以上、その名称であると解されるところの地番に錯誤があつても、法律行為の要素に錯誤があるとは云ひ難いものであるから、原告が為した前記土地部分の買受の意思表示には、要素の錯誤はなかつたものであると判定するのが相当であると云ふべく、従つて、原告の為した買受の意思表示に要素の錯誤があることを理由として為された、原告の前記土地部分の買受行為が無効である旨の主張は、理由がなく、又、前記地番四、三八六番の三の土地は、前記の通り、別紙見取図々示の位置にある甲土地であつて、現実に存在する土地であるけれども、同土地は、前記の通り、売買の目的土地とはなつて居なかつたものであるから、前記買受の契約が右土地について為されたものであることを前提として為された原告の右四、三八六番の三の土地の買受行為が無効である旨の主張も亦理由がない。(田中正一)

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